奥州市主催の読み聞かせボランティア対象のわらべうた講座でお話してきました
- 奥州わらべうた遊びの会
- 2024年9月21日
- 読了時間: 5分
更新日:2月22日
2024年9月21日に、奥州市生涯学習スポーツ課主催の「読み聞かせボランティア対象のわらべうた講座」でお話をしてきました。
ボランティアの方たちから「わらべうたについて知りたい」との希望があり、担当の市の職員の方がインターネットで「奥州わらべうた遊びの会」のホームページを見つけての依頼でした。
具体的な内容の希望までは伺えなかったのですが、読み聞かせボランティアの方以外の、幼稚園や保育園の先生、放課後児童クラブの指導員などまで広げて参加者を募集するとのことでしたので、「わらべうたとはどのようなもので、子どもの成長にどのようによいものなのか。」また、「お話会や読み聞かせが担うべき新しい動きが全国的に出てきている」という内容でお話することにしました。
始めに参加者の方々に、「お話や読み聞かせをどのような場でされているのか」をお聞きしましたら、ほどんどの方が、小学校や中学校に出向いてお話を語ったり読み聞かせをされている方で、14人でした。
図書館での親子向けのお話会の方が1名。
幼稚園、保育園、子ども園の先生が6名。
放課後児童クラブの指導員の方が2名。
読み聞かせや絵本に興味ある方が3名。
わらべうたに興味がある方が2名。
子育て支援センターなど親子が集まる場で行っている方はいらっしゃいませんでした。
きっとみなさん、お話会で遊べる遊びを覚えたいだろうと思い、
お話が3分の1,実践を3分の2ほどの割合で進めました。
始めに、「なぜ読み聞かせにわらべうた?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるだろうと思い、私が今までわらべうたの活動を通して知り合った、お話会や読み聞かせをされている方から教えていただいたことをお話しました。
・「わらべうたを聴くことは、初めての言葉との出会い、初めてのお話(文学)との出会いの場面になる」という考えから、お話会の中にわらべうたを取り入れるようになってきている。
・わらべうたは日本独自の節遣いでできている。これを歌うことで、日本の音楽文化を伝承することにつながる。その役目を、お話会や読み聞かせの場が担おうというする動きがある。
・親子で遊ぶわらべうた遊びは、子どもの精神発達にも大きな役割を果たす。その役目をお話会や読み聞かせの時間が担おうとする動きがある。
今回は、乳幼児親子対象の読み聞かせの活動の方がいらっしゃらなかったので、是非何かの機会に、乳幼児親子の会を開催して欲しい、とも伝えました。
前半は、「わらべうたとはどのようなものか」「日本独自の節遣い」のお話を、図を使って、また物売りや身近なメロディーを使ってお話しましたら、みなさんとても興味深そうにお聞きになっていました。
実践の部では、年齢順に、お持ちいただいた人形(私が作った人形もお貸しして)を相手に、体を触る遊びや向かい合って真似する遊び。
手遊び、手合わせジャンケン遊び、お手玉などで遊びました。
質疑応答の時間まで遊んでしまったので、会の終了後に、個別で質問などを伺うことになり、おひとりの方がいらっしゃいました。
”今、自分の保育園では、自分がリーダーとなってわらべうた遊びを先生方に教えながら、子ども達と遊んでいる。自分は、今は園にいない、わらべうたを学んでいた先輩の先生に教わったものを遊んでいる。
その先生から、「わらべうたのしぐさは、休符のところも止まらないでしぐさを続けるように」と言われたので、後輩の先生方にもそう伝えている。しかし、今日のわらべうたの遊びは、休符のところは止まっていた。なぜなのか。”との質問でした。
”休符のところもしぐさをする”のは、コダーイ芸術研究所が創ったわらべうた遊びのやり方です。
コダーイ芸術研究所のわらべうた遊びは、音楽教育の目的を果たすために、伝承されてきたわらべうたに、
独自のしぐさや遊びを付けたものです。
”休符のところもしぐさをする”のは、歌(音楽)の中にある拍(一定の速さで規則的に脈打つ目に見えない
感じるもの。コダーイ芸術教育研究所では「鼓動」と呼んでいます。)を、しぐさをすることで体感させるために、コダーイ芸術教育研究所が考え出した方法です。
”休符のところにも拍はある”ということを感じさせるための方法なのです。
質問をされた先生にわらべうた遊びを教えた方は、どこかで、コダーイ芸術教育研究所のわらべうた遊びを学んだのでしょう。(それが音楽教育を目的に作られたものと知っていたかはわかりませんが・・・)
質問をされた先生に、そのことをお話し、今日遊んだものは、ごく自然に子ども達が遊んだ遊び方で遊んだので、休符のところは止まったのだということをお話しましたら、よく理解し、ホッとしたような表情をされたように感じました。
その先生は、「今まで、後輩の先生にわらべうた遊びを教えると、どうしても休符で、止まってしまう。自分も、止まるのが自然だと感じていたが、先輩の先生に、止まってはいけないといわれていたので、後輩にも、止まっていけないと言い続けていた。」ともお話されていたので、「音楽教育としてわらべうた遊びを遊ぶのでなければ、休符のところで止まっていいのだ」と分かったからなのではないかと思います。
現在、「わらべうた」と称し、コダーイ芸術教育研究所が作った遊びを、その遊び中にある音楽教育の目的が果たせないくらいに遊び方を省略したり、別な動きにしたり、雰囲気的に遊んでいるものが動画配信されていますが、そのような中で、”休符のところもしぐさをする”という、コダーイ芸術教育研究所が目指した音楽教育的な狙いをしっかり実践している園(そのような目的でそうしているということを分かってはいないかもしれないけれど)が、遠い岩手の地にあったこと。
それも、コダーイ芸術教育研究所とは直接的に縁がない園でおこなわれていたことに、とても驚きました。
様々な場での読み聞かせやおはなしをされている方、また、今はしていないがわらべうたや読み聞かせに興味がある方など、いろいろな立場の方々の集いになりましたが、この講座から、なにか新しいものが生まれたら嬉しいと思います。