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「ヂーヂーバー」。どのように遊びますか?

  • 執筆者の写真: 奥州わらべうた遊びの会
    奥州わらべうた遊びの会
  • 2024年6月24日
  • 読了時間: 4分

更新日:2月22日

♪ ヂーヂーバー

  ヂーヂーバー

   (繰り返す)

  チリンポロンと とんでった


と歌う(唱える)わらべうたをご存知でしょうか。

多くの子育て支援の場やおはなし会、保育園、子ども園などでは、


”布の両端を持ち、自分や子どもの顔の前に広げて顔を隠し、「ヂーヂー」で歌の拍に合わせて2回上下に動かし、「バー」で布を下げ顔を出す。「チリンポロン」で左右に振り、「とんでったー」で布を軽く投げ上げる。”


という遊び方で遊ばれています。

YouTubeでも、この遊び方が配信されているものもあります。


このわらべうたは、「日本のわらべうた 室内遊戯歌編」尾原昭夫編著(文元社)に書かれていていますが、

遊び方は違っています。

雀がいろいろな場所に止まる様子を模した、数人で遊ぶ岩手の手遊びとして記録されています。

子ども達がこのように遊んでいたこのわらべうたが、なぜ布を使って顔を隠しては見せるという遊び方になったのでしょうか。

ハンガリーの音楽教育法「コダーイ・システム」を日本に広めた「コダーイ芸術教育研究所」が、乳幼児期に、視覚でも音楽の鼓動(拍)を感じることができるように。また他者と鼓動(拍)を共有できるようにするために、この歌を教材として選び、先に紹介した遊びを創り、それが広まったからでした。


今では、「日本のわらべうた 室内遊戯歌編」に記録されている本来の遊び方を紹介する方や、その遊び方で遊ぶグループも増えてきて、この遊びを創り出した子どもたちの豊かな感性を感じながら遊ぶことを大切にしようとすることが広まってきています。


私も、わらべうたの会では、「日本のわらべうた 室内遊戯歌編」に記録されている遊び方で遊んでいます。


”ひとりが手の甲を上にして手を出します。「ヂーヂーバー」と言いながら、別な人がその上につまむようにして手をのせます。そのあとにも同じように言いながら、他の人が甲の上に手を次々にのせていきます。手が足りなくなったら、下の手を上げて上にのせていきます。どんどん高くなっていくので、もうこれ以上のせることでできなくなったところで「チリンポロンととんでった」とみんなで言って一斉に手を崩します”


これは、手を雀に見立て、どんどんと止まっていく様子や、物音を聞いてパーっと一斉に飛び立つ様子を遊びにしています。


「ヂーヂーバー」という歌詞についてですが、これは雀の鳴き方と羽ばたきを表現した「チーチーパー」(童謡「雀の学校」でもこのように歌われています)が、岩手の方言の発音の仕方でこのように聞こえたものをそのまま記録したのでした。


そのようなこともあり、私はわらべうたの会では、この手遊びをするときは、「チーチーパー」と歌いながら遊んでいます。


そう遊びながらも思うことがあります。

それは、わらべうたを歌い遊ぶ時は、歌詞に自身の気持ちをのせて、生きた自分の言葉として歌うことが、本来のわらべうたの歌唱ではないかと。

今の子ども達にとって、雀の鳴き声は「チュンチュン」。

「チーチーパー」ではなく、「チュンチュン」と言いながら、次々と手をのせていくと、子ども達は、「チュンチュン」と鳴きながら木々や屋根、電線、地面などに止まる雀の姿を思い浮かべながらこの遊びを遊ぶことができるのではないかと。


わらべうたを、子どもの生活の中で歌い継ぐ中で、意味が分からなってしまった言葉もあることでしょう。

でも子どもたちは、わからなくともそれを遊びを楽しくする歌として受け入れ、意味が分からなくともそのまま歌うということも行ってきました。

しかし、今子どもたちの中にない、記録として残されているわらべうたを、できるだけ自然な形で子どもに手渡し、蘇らせる場合は、子どもにとって生きている言葉でなくては、子ども自身のわらべうたにはならないと思うからです。

そのためには、歌詞を今の子ども達がわかる言葉に変えなくてはならない。

一方で、歌詞もメロディーも記録されているものをそのまま伝え、その歌が変えられて伝わってしまうことがないようにすることが大事、という考え方もあることでしょう。


どの歌い方で「ヂーヂーバー」を伝え残していくか。

「ヂーヂーバー」、「チーチーパー」、「チュンチュン」。

子ども達や親子と一緒に、さまざまな歌詞の歌い方で遊びながら、探していきたいと思います。


みなさんは、どのように遊びますか。









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